安芸市 森づくり研修(自伐型林業研修)
安芸市の取組:森づくり研修(自伐型林業研修)
写真提供:一般社団法人安芸市観光協会
安芸市について
安芸市は、県都高知市から東へ約40キロに位置する田園都市で、市の南部を横断する国道55号を中心に県東部地域最大の市街地を形成しています。南は土佐湾に面し、北は四国山地を背にし、徳島県と接しています。市内の中央部には安芸川・伊尾木川が南流し、その流域に安芸平野が広がっています。
安芸市 森づくり研修2022
安芸市では、市内在住者を中心に小さな林業(自伐型林業)に関心を持ち、新たに林業を始めてみたい方や、山林の管理に困っている方を対象に、チェーンソーの取扱いや間伐の仕方、作業道開設等を学ぶ林業未経験者・林業初心者向けの「自伐型林業研修」を2022年度(令和4年度)に開催しました。
- 支援制度:「安芸市森づくり研修」
- 内容
- 事前説明会:令和4年10月19日
- 第1回:令和4年10月29日~30日 チェーンソー取扱い研修等
- 第2回:令和4年11月19日~20日 間伐研修
- 第3回:令和5年01月14日~15日 作業道開設研修
- 場 所 :安芸市
- 対象者 :市内在住者を中心に小さな林業(自伐型林業)に興味をお持ちの方
- 講師
- 奈良県吉野林業家、清光林業株式会社:岡橋清隆 氏
吉野林業再生のためには路網整備と直営化(自伐化)が必要と考え、作業道づくりの実績を積み上げ、伝統ある林業地で新しい山林経営を行っている。
- 奈良県吉野林業自伐林家、奈良県林業指導講師:原田勤 氏
奈良県吉野地域で林業を営む伐木のプロフェッショナル。一般の林業者の手に負えない特殊な環境での障害木伐採では全国から声がかかる。
- 自伐型林業推進協会:中嶋健造 氏、四宮成晴 氏
紹介記事
https://zibatsu.jp/meister
- 奈良県吉野林業家、清光林業株式会社:岡橋清隆 氏
2022年研修スケジュール | ||
内容 | 開催日時 | |
【開催日】 | 【開催時間】 | |
事前説明会 自由参加です。研修内容や自伐型林業の概要説明、森のお困りごとの相談をお受けします。 |
令和4年10月19日(水) | 18:00~20:00 |
第1回:チェーンソー取扱い研修 チェーンソーの取扱い技術を学びます。研修1及び研修2を受講された方に、チェーンソー取扱特別教育修了証を発行します。 |
令和4年10月29日(土) 30日(日) |
09:00~17:00 |
第2回:間伐研修 チェーンソーの取扱い技術及び間伐時の選木の考え方、立木の伐倒・造材、枝払い、けん引、搬出等を学びます。 |
令和4年11月19日(土) 20日(日) |
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第3回:作業道開設研修 作業道開設技術の基本知識及び路線選定、バックホウによる壊れない道づくりを学びます。 |
令和5年01月14日(土) 15日(日) |
はじめの一歩、学びで変わる安芸の山
今回は、安芸市で初となる森づくり研修(自伐型林業研修)を中心となって進める、安芸市農林課 林業振興係 岡田さんにお話を伺いました。
安芸市農林課 林業振興係 岡田さん:
「安芸市の自伐型林業の取り組みは昨年(令和4年)3月にNPO法人84(はちよん)プロジェクトと開催した自伐型林業に関する「小さな林業(林業の多様性)フォーラム」でスタートしました。84%の森林率を持つ高知県(安芸市は89%)において、豊富な森林資源の活用と持続可能な山づくりは重要なテーマだと安芸市としても考えています。今回の「森づくり研修(自伐型林業研修)」を通じて、新しい林業の選択肢となり得る自伐型林業に興味を持っていただき、その担い手の育成につながればと考えています。」
熱心に指導を受ける参加者
若年層からご高齢の方まで幅広い年齢層の参加があった今回の研修では、安芸市在住者や自身で山林を保有している方、土佐備長炭の製炭者など参加者も様々で、どの参加者も座学研修から真剣に取り組み、現場でのチェーンソーを使った研修では「先生、間伐ではどういう木を選んだらえいがです?」などと積極的に講師に質問をしていました。
小さな林業への確かな手応え
安芸市農林課 林業振興係 岡田さん:
「安芸市としては初めてとなる自伐型林業の研修を終え、熱意のこもった講師陣の指導、真剣に取り組む参加者の姿に、机上だけでは得られない「林業の現場」を感じることができる実りある研修ができたと手ごたえを感じています。
講師陣からは、チェーンソーの扱い方を入口に、選木の考え方、安全に対する意識、林業経営に関する知識など幅広い指導があり、伐倒作業では、木の重心、どこに倒して、どうなったら危ないかといった一つ一つの教えに、参加者全員が耳を傾け、熱心に質問する様子が印象的でした。」
安芸市農林課 林業振興係 岡田さん:
「安芸市では集落周辺の里山や、皆伐が適さない森林での自伐型林業の担い手支援・育成を考えていて、市民に向けた研修と並行し、自伐型林業を行うための施業地の調査を進めています。」
持続可能な安芸の山々のために
安芸市農林課 林業振興係 岡田さん:
「今後、自伐型林業を推進していくにあたっては次の2点が重要だと考えています。一つは自伐型林業の山守としての機能です。自伐型林業は森林の成長量を超えない弱度の間伐を繰り返し行う多間伐施業が中心であり、施業する山を固定します。そのため、施業が集落周辺の里山の整備にも繋がり、土砂災害などの防災・減災にも貢献できます。もう一つは、自伐型林業を志す担い手を移住者にも範囲を広げて募集するという点です。中山間地域の集落機能の向上にも寄与することができ、林業にとどまらない波及効果を期待しています。自伐型林業を推進することで林業の担い手不足という安芸市の課題に取り組んでいきたいと考えています。」