ワークスタイル

STYLE18協働の森づくり活動、森林保全

協働の森づくりを目指して歩んだ
20有余年

森林ボランティア こうち森林救援隊 事務局長中川 睦雄さん


2025年に活動20周年を迎えた森林ボランティア団体「こうち森林救援隊」(田鍋俊六隊長)の活動をご紹介します。

こうち森林救援隊が目指すもの

  • 手入れが遅れ荒廃した人工林の間伐を促進し、将来的には、針・広混交林のセラピー森林となる森づくりを目指します。

  • 森林整備活動への関心を高めるため、人々の生活に身近な里山や公園などの環境整備にも積極的に取り組んでいきます。
  • 間伐材等を使った木工創作や自然学習などの活動を通じて、人々の森づくりへの関心を高めるとともに、森の恵みの有効活用を促進します。
  • 今後も引き続き、他団体とも連携して、森づくり活動を支える新たな担い手づくりに取り組んでいきます。
  • 地震や風水害などの防災面を意識した環境整備などの取り組みにも力を入れていきます。
  • 行政や民間企業、他のボランティア団体との連携を強化しながら、より良い環境の整備や中山間地域の活性化、新たなビジネスの創出等に貢献できる取り組みにも積極的にチャレンジしていきます。
  • テレビ、新聞などのマスコミやSNSを活用して積極的な情報発信を行い、森づくり活動に取り組む人々との輪を拡げていきます。

「こうち森林救援隊」とは?

森林環境の整備や林業の再生、中山間地域の振興を目的に2005年1月に設立した任意ボランティア団体。旧鏡村と旧土佐山村が高知市と合併し、市の森林面積が3倍に増えたことをきっかけに、市役所職員らの有志で結成されました。主な活動は、高知市を中心にした森林整備活動や、人々の森づくりへの関心を高めるための広報活動等です。
団体の特長となっているのは、林業に従事して“いない”人が集まって活動していることです。メンバーはいずれも「森づくりに興味・関心がある」という方達ばかり。現在の登録者は約130名おり、中でも市役所や民間会社を退職された平均年齢74歳の平日活動部隊(通称:オンちゃん部隊)が精力的に活動を行っています。その活動日数は年間200日近くに及び、毎日のように山へ入って作業を行いながら、森づくりに興味を持つ若者らの育成にも力を注ぐなど、高知の森づくりを力強く支えています。

オンちゃん部隊 ノツゴ山避難路敷設整備活動の様子

今回同行したのは、2025年12月3日に行われたノツゴ山(高知市長浜)の避難路敷設整備活動。こちらはこうち森林救援隊と日本テレビ24時間テレビ事業の協働の森づくり活動の一環であり、竹が生い茂るノツゴ山の西斜面を整備し、地震や津波の発生時に避難路として利用できるようにするものです。三日間にわたり、延べ18名が活動を行いました。


作業のようす フラットに竹を伐ります 生えている竹だけでなく、枯れたまま残されている竹の処理にもひと苦労。

山の近くには住宅もあるため、伐った竹が倒れる方向をよく考えながら、丁寧に作業を行います。

登っている最中につまずかないように、できるだけフラットに竹を伐ります。難しい技術が必要です。

生えている竹だけでなく、枯れたまま残されている竹の処理にもひと苦労。


作業のようす 伐った竹は避難路のじゃまにならないように整理。 間伐した広葉樹を利用して登りやすい階段もつくられました。

津波や浸水の被害を受けない高台までの避難路をつくるため、道無き道を進みます。

伐った竹は避難路のじゃまにならないように整理。

間伐した広葉樹を利用して登りやすい階段もつくられました。


整備前。竹が生い茂って登りにくいだけでなく、昼でも暗い竹林を… 整備後。人が通りやすく、明るい雰囲気の避難路に変貌させました。

整備前。竹が生い茂って登りにくいだけでなく、昼でも暗い竹林を…

整備後。人が通りやすく、明るい雰囲気の避難路に変貌させました。


こうち森林救援隊 事務局 中川睦雄さんにお話をうかがいました

 

Q: 主な活動内容について教えてください。

10年前までは人工林の整備を主な活動として行っていましたが、人工林全体において救援隊が作業を行える範囲はわずかしかなく、県民に対する啓蒙にもつながりにくいという課題がありました。そこで、この10年間はより身近な里山や、春野運動公園など県民の方々がよく利用する場所の整備にも力を入れて、県民のみなさんに私たちの活動を知っていただき、森づくりの大切さを伝えていくことを目指しています。特に防災対策を兼ねた里山の整備については、東日本大震災以降、関心が高まってきており、「身近にある里山が命を守っている」ことを改めて感じていただく良い機会になっていると思います。

また、山を整備するだけでなく、「山を楽しむ」ためにはどうすれば良いかを伝えていくことも、われわれの目的の一つです。環境意識の高い一般企業の社員さんとの協働の森づくりや、親子連れを対象にした自然遊びのイベントも開催しています。

 


 

Q: モットーにしていることは?

まずは「自分自身が楽しむ」こと。そして、森づくり活動を通して仲間をつくり、人生の友としてつながっていくことです。

 


 

Q: 林業の経験がない方が活躍している点が特長となっていますが、技術はどのように習得していますか?また、安全面について取り組んでいることはありますか?

われわれには20年以上の歴史がありますので、ベテラン隊員はプロと遜色ない技術レベルとなっています。積み重ねてきたものを新人隊員へと引き継ぎ、経験を積んでもらうことで技術を磨いてもらっています。

安全面については、基本的なことですが作業を始める前に作業内容や注意事項を確認することを徹底しています。幸いにも発足以来、大きな事故や怪我は起きていません。

 


 

Q: 作業道具はどのようにしていますか?

事業によっては道具を購入できる場合がありますので、救援隊としてはそういった機会を活用しながら道具を揃えています。しかし、メンバーが主に使う道具類はそれぞれ個人が購入したものが主体となっています。作業を楽しむ上で道具は重要で、借り物では満足できません。自分の道具にこだわるのも森づくりの醍醐味の一つです。

 


 

Q: 将来を見据えて取り組んでいることはありますか?

平日に活動できるオンちゃん部隊は平均年齢74歳で、いつまでも活動ができるわけではありません。若い世代に引き継いでいくことも重要だと考え、4年前から月1,2回、若い方も参加しやすい土日を使っての養成講座を開催しています。令和6年度は延べ169名の方が参加されました。

 

また、講座とは別に、より敷居を下げた定例会研修も行っており、そこには「どんな作業をしているか見てみたい」「山の空気を吸いたい」といった方も気軽に参加できるようにしています。きっかけは何であれ、山へ入り、木が1本伐採されただけで山が明るく変わることを感じていただくことが大事だと考えています。

それと、救援隊は活動日数が多くなって事務局の負担が増えています。その分、活動資金も必要となり、任意ボランティア団体としてこのまま続けていくことは難しいことと感じています。新たな道を拓いていくためにも、NPO法人化していくことも視野に入れています。

 


 

Q: 高知の小規模林業を推進していくために、どんな取り組みが必要だと思いますか?

仕事のようす

地域おこし協力隊など小規模林業を志して高知にやって来られる方は多いのですが、生業とするには課題があると思います。その課題に対してわれわれ救援隊が直接的に何かできるわけではないですが、例えば、われわれが行なっているボランティア活動の一部を、“仕事”として回していくことはできるかもしれません。

もちろん、それには行政や関係団体の支援も必要です。どういった方法があるかはみんなで考え続けないといけませんが、救援隊としては「木を伐って楽しかった」だけで終わらないよう、周囲へ、未来へ、つないでいける活動にしていきたいと思っています。


こうち森林救援隊の活動についてはホームページもご覧ください。


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