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里山で実践、自然体の自伐型林業

STYLE13里山で実践、自然体の自伐型林業

佐川町の里山で自伐林業
2014年に東京から佐川町へ移住、
里山林業で地域に根づく

佐川町滝川 景伍さん

里山で実践、自然体の自伐型林業

里山で実践、自然体の自伐型林業


里山で実践、自然体の自伐型林業

滝川さんと地域の皆さん(場所:とかの集落活動センターあおぞら)

 

里山で実践、自然体の自伐型林業

 

出版社勤務 編集者から⾃伐林家に転⾝

 

30歳という節目を機に転職を考えていた滝川さん。
2014年10⽉から佐川町の地域おこし協⼒隊員として移住しました。

最初は農業をやってみようと考えていたが、 ⼤学の先輩が⾃伐型林業推進協会の事務局⻑をやっていた縁から⾃伐型林業に興味をもつようになったそうです。

 

「⾃伐型林業という聞きなれない言葉に惹かれ、ネットや本で調べてみました。ちょうどその頃、先輩が作ったシマントモリモリ団のドキュメント映像も見せてもらい、影響を受けました。 2014年の当時、⾃伐型林業の最先端が⾼知県で、ちょうどその年から佐川町が自伐型林業での地域おこし協⼒隊の募集を始めました。 今でこそ自伐型林業での地域おこし協⼒隊の募集を⾒かけますが、その当時は⾼知県と島根県の津和野のみでした。」

 

 移住当時をこのように振り返った。

 

「移住したのは、結婚し息⼦が⽣まれてから半年の頃。妻は⼦育てに⼿⼀杯で移住に反対する気⼒も無かったと思います(笑)。まわりに親戚もおらず、両親からは、林業は危なく、稼げないというイメージから、⼤丈夫だろうかと⼼配されました。」

 


里山で実践、自然体の自伐型林業 里山で実践、自然体の自伐型林業

地域おこし協力隊員として、初めての林業に挑戦

 

「最初はチェーンソーが重い!! ⼤変でした!」 何もかもが初めてのことだらけ。もちろん重機にも乗ったことがない。 チェーンソーの扱い、重機の操作、作業道の作り⽅、伐倒、間伐の⽅法など学べること、できることは全部やった。

 

 佐川町は林地集約が進んでいるという印象がありますが、佐川町の地域おこし協⼒隊として林業を学んでみてどうでしたか?

 

「佐川の町有林で林業を学ぶ事ができたのはよかった。売上や施業速度を気にすることなく、じっくりと基礎を学べました。」

 

 

「さかわ戦隊 キコリンジャー」を結成

 

「地域の方に自分たちの存在を知ってもらいたいと思い、協⼒隊員5名と“さかわ戦隊 キコリンジャー”を結成し、⾃伐型林業の情報発信や竹林整備を行ないました。」

 

「⼈と林業の接点を増やす」そんな働きが今に繋がっている。

 


里山で実践、自然体の自伐型林業

今は林業一本で生活、写真整理アドバイザーの副業も

 

 東京と⾼知での⽣活スタイルの変化はありましたか?

 

「佐川に来てから家族も増え今では家族4⼈。東京にいた頃は土日出勤も多く、締め切り前は徹夜することもあるような生活でした。」


今は、朝、山に行って、⽇が暮れる前に家に帰る。朝晩の⼦供の送迎もしている。
「本当に健康的になったと思う。朝、子供たちを保育園に連れていき、買い物など家事をして、9時過ぎ頃から⼭に⾏きます。17時までには山を降りて、子供たちを迎えに行き、⼣飯を作る。健康的なサイクルで生活ができるのが良いところです。」

 

 今は林業で⽣計をたてていますか?

 

「協力隊卒業後は佐川町が集約化し、町と山主さんが契約した林地を請け負って林業専業で暮らしています。今はひとりですが、来年は協力隊卒業生の仲間がひとり加わる予定です。
そのため、有限責任事業組合(LLP)を作り、今後の卒業生の受け皿になれればと思っています。」
ひと月の稼働日数は平均15⽇くらい。今はほとんどの時間を作業道作りにあてているが、来年度は間伐を増やす予定でいる。

 

来年度からは林業に加え、写真を整理する「写真整理アドバイザー」の仕事を副業としてやろうと計画しているそうだ。
「今住んでいる、⽃賀野地区の歴史アルバム作りに参加させていただいています。前職の経験も活かし、地域との関わりの中で、写真整理という仕事につながればと思います。」


里山で実践、自然体の自伐型林業 里山で実践、自然体の自伐型林業

持続可能な里山林業

 

滝川さんは、佐川町が林地集約し、100ha弱の施業地を確保した虚空蔵⼭で施業している。


「100haもあれば⼀⽣ここで持続的に林業を続けていくことができます。 ⾃宅からも近く、⾃分が住んでいる地域で持続的に山の管理をできることが、地域密着型である⼩規模林業を推奨する佐川町のメリットだと思います。もし集約できていなかったら、他の地域に出ていく必要があったかもしれません。」

 

 施業⽅法はどんなやり⽅ですか?

 

 「基本は路網集材、⾼密度に作業道をつけるやり⽅をしています。作業道は、山をできるだけ傷つけることなく、壊れない道づくりを目指しています。⼤⾬のときは、近所の⼭だから直ぐに⾒にいけます。これも地域林業のメリットです。地域の目が入るので仕事も丁寧になります。地区の⼈の命にも直結する⼤事な仕事だと思っています。」

 

 林業をしていてヒヤッとした体験は?

 

「基本ひとりで作業しているので、安全には特に気を付けていますが、伐倒の時、思っていたのとは別の方向に木が倒れたときはヒヤッとしました。今のところ大きな怪我はありませんが、傷害保険にも入っています。これには⾼知県の補助⾦を使うことができ、助かっています。」

 

 


里山で実践、自然体の自伐型林業

自然体での移住、これからの展望

 

地域との関係性は?

 

「佐川は普通に暮らしているだけで、周りから話しかけてくださるので、⾃然と地域に溶け込めます。溶け込むのに頑張らない、移住というより、普通に引っ越した感じです。」

 

仕事や⽣活について今後の展望はありますか?

 

「林業は閉じられた世界、⼭の近くに住んでいる⼈でも、僕たちが何をやっているかわからない。この状況をなんとかするために、地域の⼈たちと⼭との接点を増やしていきたいです。⾃伐型林業は地域林業だと思っています。 僕たちを通して、⼭や⾃伐型林業に触れる機会が増える、そういうことができるといい。 来年度は、ふるさと教育と称して、佐川町の林業を地域の小学生に学んでもらう機会をいただく予定です。⼦供が⼭と触れ合い、⾃伐型林業を知り、さらに⼦供を通して地域の親御さんとも接点ができればと思います。山に興味が無くなったことが、今の林業の衰退の原因のひとつだと思う。林業と関係がない多くの⽅に山との接点を持ってもらい、山の価値をもう一度取り戻していきたいです。今後は広葉樹にも目を向け、自然の姿に近い針広混交林も増やしたいです。木材を切って出すだけが林業ではないと思います。山に人を呼び込むことで収入が得られる仕組みも考えていきたいです。地域の山は、地域の人がその山を大事に思う気持ちによって、持続的に手入れができる。短期的なお金儲けに偏ることなく、⼭を⼤事に思う気持ちを大切にし、編集者の経験を活かして⼈と⼭をつなげる活動をしたいと思います。」


 最後に、写真整理アドバイザーとして、


「地域のアルバム作りをしたい方はお声がけください。」
お問い合わせ先:kei.takigawa@gmail.com


支援制度について

支援制度に関する詳細はこちら
http://kochi-shoukiborin.jp/support/


これまで活用した支援制度

アドバイザー派遣、障害保険、機械のレンタル

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