ワークスタイル

浜口 和也さん

STYLE16里山文化の継承 クラウドファンディング

お寺の住職が里山からサンゴの海を救う

「山の大切さは海が教えてくれた。
 地域と歩むキャンプ場を作りたい」

土佐清水市 土佐清水LANDSCAPE浜口 和也さん

浜口 和也さん

土佐清水LANDSCAPE


土佐清水LANDSCAPEにて集合写真

写真:前列一番右 浜口和也さん

  • 土佐清水 誓願寺 ご住職
  • サンゴと森の救援隊代表
  • 2012年まで地元の海でスキューバダイビングショップを運営
  • 2013年より本格的に林業を始め、寺院が所有する放置山林を自伐型林業を手法として整備・活用、これまでも植樹や木工品づくりなどの啓発イベントを開催してきた。
  • 2018年に「土佐清水LANDSCAPE」スタート
  • 「里山」を体験できるキャンプ場を開設するためのクラウドファンディングを行い成功させる。
    クラウドファンディング:「山の大切さは海が教えてくれた。地域と歩むキャンプ場を作りたい」

背景:慣れ親しんだサンゴの海の危機

地元の海でダイビングショップを運営していた頃、土佐清水の宝、サンゴの海が危機に瀕する出来事があった。

 

「2001年、高知県西部を集中豪雨が襲いました。山があちこちで崩れ、海は茶色に汚れていました。山からの土砂や流木が海に流れ、ものすごく濁っていました。泥はサンゴに積もり、流木はサンゴを壊し、海中の景観が損なわれ、魚も居なくなっていました。かつて色鮮やかだった海がモノトーンの世界に変わりました。それがきっかけとなって、私は海から山へと意識が移りました。」
一部引用:「山の大切さは海が教えてくれた。地域と歩むキャンプ場を作りたい」

 

その頃、現在の小規模林業推進協議会長:中嶋健造さんの講演を聞き、持続可能な山を実現する自伐型林業に出会うことができた。

 

「海をきれいにするためには自分たちで地域の山を手入れすることが必要だよ」と習い、サンゴと森の救援隊を設立。

 

この時はまだ林業を副業にできるとは思っておらず、お寺の山(50ha 内スギ・ヒノキは5ha)で間伐からスタート、基本ボランティアで施行し燃料代も自分持ち。

 

「これはボランティアでは続かんなと思った。」

 

それでも再びサンゴが広がる綺麗な海を復活させる為にはどうしたらよいのか。
山を良くすればサンゴにも良くなる、サンゴを守る活動と並行して山での施行を増やしていく。
山での稼働が増え、自伐型林業を勉強して行く中で山の魅力を感じ、

 

「これは土佐清水の里山で展開できるのでは?」と手応えを感じていた。

 

2011年の東日本大震災や身の回りの出来事を境に海から山にシフトしていく、川や海の環境保全を意識し、土砂災害から里を守るための自伐型林業の可能性を感じ、これは土佐清水の里山で展開できるのではと考えた。
当時はまだ材の搬出もできなかったが、「高知山の日事業」で作業道を作る講習会に参加した

 

「道だぞ、道をつけると山が変わるぞ(中嶋健造さん)」

 

自伐型林業を続けるにはどうしたらいいのか、いろいろなフォーラムに参加し学びを深めていったが、土佐清水は高知県内の他の自治体に比べ林業に関する支援が少なく、全て自分たちで切り開いて行くしかなかった。
それでも2013年からは多面的交付金(森林・山村多面的機能発揮対策交付金)を利用する事ができ、ハード・ソフトの両面で活用し活動を広げていく事ができた。


山の日 山の日

里山で自伐型林業の実践「土佐清水LANDSCAPE」の開設

自伐型林業を実践し海域の保全と地域の様々な産業をサポートする「土佐清水LANDSCAPE」の開設


2018年に里山の再生と中山間地域の再興を目的に地域の様々な産業のサポートを行う「土佐清水LANDSCAPE」を開設
崩さない林内作業道を開設し、適切な間伐を行い、受け継がれる自伐型林業の再興を使命に活動を行っている。

土佐清水LANDSCAPEでは、里山でとれたシイ、カシ、ナラ、ヤブツバキ、ヤブニッケイなどの広葉樹から薪を生産し、ふるさと納税の返礼品として販売している。その反響は大きく販売開始から直ぐにニーズは大きく増え、市へのふるさと納税額も急速に増える反面大きな課題に直面する。

 

ニーズは多いのに自伐林家が少なく、担い手不足の課題

 

「里山の再生をしていく担い手の不足が大きな課題です。
薪のある生活、焚き火を囲む生活は魅力的で、ここ土佐清水に移住してきた方達も、皆一様に「焚き火がしたい」「火を囲む生活に憧れがある」と言います。しかし必要となる薪を作るための、清水の里山を手入れできる自伐林家が圧倒的に少ないのです。
広葉樹の薪はスギ・ヒノキより手間はかかり、一度に搬出できる立米数も少ない。でもうまくやれば植林もしなくていい、再生可能エネルギーのさいたるもの。
担い手不足で手入れが行き届かない山の広葉樹は大径木化しすぎて炭にもできない。」

 

担い手を増やすにはどうしたら?


里山で自伐型林業の実践「土佐清水LANDSCAPE

クラウドファンディングにかけた思いとその成功

「里山」を体験できるコミュニティスペース・キャンプ場「土佐清水LANDSCAPE」

コロナで世界が一変した2020年5月
林業の研修・コミュニティスペースを作りたい!
災害時には避難所として機能する多目的な「里山」を復活させたい!
との思いからクラウドファンディングをスタート

 

「山の大切さは海が教えてくれた。地域と歩むキャンプ場を作りたい」
https://readyfor.jp/projects/tosashimizu-camp

「今日、山を仕事とする環境や人は全国的に少なく、私の住む土佐清水市も例外ではありませんでした。「アンダーユース」という言葉が使われるように、どんどん人手が不足することは避けられません。

それでも私は山の手入れを勉強する中で、自分たちで山を管理し、一度に全部の木を伐らず、少しずつ伐りながら収入を得て、しかも川や海の環境保全を意識し、土砂災害から里を守るためにも一役を担える「自伐型林業」に出会い、山の手入れをすることに誇りを持っています。

より多くの人に自伐型林業を知ってもらい、実践していただきたいという気持ちがあります。そこで、「自伐型林業」を意識できる「キャンプ場」を開き、山に親しみながら様々な視点が持てる場を作りたいと思い、今回のプロジェクトを立ち上げました。山が元気になれば、海・川・里すべてが元気になります。」

 

「キャンプ場から自伐型林業の魅力を啓発したい
そして、1人でも多くの山仕事の担い手を増やしたい」

2020年6月、目標金額の約2倍を調達し、クラウドファンディングを成功させることができた。

 

 


コミュニティスペース コミュニティスペース

大事なことはコミュニティスペースであること。

今「土佐清水LANDSCAPE」には、土佐清水に移住された方を中心としたコミュニティができつつある。

 

新たに創るキャンプ場を「土佐清水Relax」に命名

 

キャンプ場の整備は浜口さんを中心に、地元の仲間、移住者の方々と一緒に進めている。
木の伐倒、キャンプ場の整地、竹とビニールハウスの資材を利用した休憩スペース。
この整備を進め「土佐清水Relax」は3つの機能を備える予定だ。

  • キャンプ場として
    里山と澄んだ小川に囲まれたキャンプ場
     
  • 林業研修の場として
    土佐清水の里山でこれから自伐型林業をやりたい方が林業体験をできる場
     
  • 災害時の避難場所として
    被災時には津波の恐れのない避難場所として活用、普段はキャンプ場として機能するため、最低限必要なライフラインを備えた場

土佐清水LANDSCAPE

思いとノウハウの共有

 

使われなくなった炭窯の跡を利用し沢水を引き、その澄んだお水でコーヒーを淹れる。
大勢の仲間の家族と焚き火を囲み、日が暮れれば帰路に着く。

 

まだまだやること出来ることは多く、キャンプ場としての整備もこれから。
それでも、ここ「土佐清水Relax」を創る過程で仲間が増え、林業という枠を超えたコミュニティがスタートしている。

 

里山で自伐型林業を行ってきたノウハウ、自然に囲まれた土佐清水での暮らしのノウハウ、この素晴らしい里山の自然とサンゴの海を次世代に繋いでいく思いを移住してきた方、Uターン、今から山に関わる人たちに共有したかった。その思いが少しづつ芽吹き始めている。

 

「田舎だからこそ、自伐型林業だからこそ、林業を副業とした生き方もできると思っています。
サーフィンしてから山に入ったって良い、薪で天然酵母のパンを焼く、農業も漁業も大工も林業と一緒にやったっていい。
林業は時間的な縛りが無く林業+αがしやすい、そんなところも魅力でありそんな暮らしのノウハウを伝えて行きたい。
「土佐清水Relax」は営利じゃなくきっかけの場づくりの為に作りました。
林業に興味のある方、移住者、地元、いろんな方が関わりコミュニティに溶け込んでもらって、海を守るための山づくり、そういった人がここから生まれて次世代に繋げていければと思っています。」


思いとノウハウの共有

支援制度について

支援制度に関する詳細はこちら
http://kochi-shoukiborin.jp/support/


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